ATELIER IN CAMBODIA

カンボジアシュムリアップのゴミ山で働く子どもたちに職能体験の場さらには日本語教育の施設の計画である。
施主は現地においてバナナの木を再利用しプロダクトを制作、販売を行い、雇用を生んでいる。要望は高温多湿の中でもみんなが快適に過ごしやすくすること。セルフビルディングを可能とする工法、低コストで行うことであった。

先進国のリサイクルされなかったごみは途上国で投棄されることになることも少なくない。郊外や貧困層の多く暮らす地域では、海外から運び込まれたごみが高く積み上がっている光景や、そのなかからまだ使えそうなものを拾い集める人々の姿が珍しくない。それらを救うプロジェクトである。

学校に行けず、ゴミ山で働いてしまう子供たちに「将来のやりたい職業はなにか」と調査したところ、90%以上の子ども達が「先生、医者、農業、ゴミ山で働く」の4つである。ゴミ山で働く理由を調査したところ、2つの大きな問題がある。1つは、村での仕事が極端に少ないこと、2つ目はゴミ山でリサイクルできるものを拾えば、健康被害はあるものの暮らしていけるだけの収入は得られることである。

カンボジアの大自然の恵みを受けて育ったバナナの幹の繊維を独自の方法で加工し 、破れにくく、しなやかで優しい手触りに仕上げたバナナペーパーからプロダクトを制作し販売するシステムを作り。ごみ山で働いていた人々を雇用している。

kumae

解体した木パレットを使った工法

運送備品として不可欠となってる木パレットは世界各国の人々から恩恵があるものである。一度使われた木パレットはゴミとして扱われ、再利用されない国ではゴミ山に蓄積されていく。一方で、スラムに住んでる人やゴミ山で暮らす人々は木パレットをゴミ山から持ち出し、独自の方法で構造を組み立てている。しかし、お世辞にも安全とは言えない工法である。大きな災害がくれば一気にくずれるだろう。
本プロジェクトにおいて、タイスラムリサーチで学んだ木パレットを扱った工法を応用した。
北側にハイサイドを設け重力換気による、南から北に抜ける通風を促す、いたってシンプルな断面構成とし、安定した明るい中で細かい作業を行えるよう配慮した。